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  • 議事録:講習会1「HACCPにおける最新の微生物管理について」

    HACCPにおける最新の微生物管理について

    1. 期日:平成16年7月8日(木) 14:40〜15:30

    2. 会場:財団法人日本冷凍食品検査協会 4F 会議室

    3. 講師:対米・対EU輸出水産食品HACCP認定施設協議会顧問
         東京水産大学名誉教授 奥積 昌世 先生

    4. 内容:
    (1) 食品衛生に関係の深い細菌について
    1. 食中毒細菌の分類について
     ・ 食中毒細菌は、発症の仕方から3つのタイプに分けられている。
      感染型:食中毒細菌が食品中で増殖(10〜10個)し、その食品を食べて発症する。
      毒素型:食中毒細菌が食品中で増殖し、毒素を産生し、その食品を食べて発症する。細菌が死んでいても、毒素が活性化していれば発症する。
      中間型:食品の中で増殖し、人の体内で毒素を産生する。
    2. 腸炎ビブリオについて
     ・ 海洋性細菌の一つで、沿岸や河口水に多い。
     ・ 増殖温度:最適温度は30〜37℃。10℃以下では増殖できない。
     ・ 死滅条件:60℃10分間の加熱で死滅する。
    3. サルモネラ中毒菌について
     ・ 腸内細菌科の細菌で、大腸菌の生態に似ているので、大腸菌が存在している場合はサルモネラも存在している可能性がある。
     ・ 増殖温度:5〜45℃の範囲で増殖し、37℃が最適温度である。
     ・ 死滅条件:60℃で20分間加熱。
           pH 5.4以下(酢酸の場合)
    4. 腸管出血性大腸菌(O-157、H7)について
     ・ 病原性大腸菌には5種類あり、そのうちの1種類が腸管出血性大腸菌で、その特徴は、
       ・ソルビトール発酵性がある
       ・増殖温度:7〜45.6℃
       ・死滅条件:75℃1分間以上加熱
     ・増殖抑制条件:pH 4.3以下、Aw 0.95以下
       ・対NaCl:6〜8%でも増殖可能

    (2) 原料に存在する細菌の種類について(資料(4)腐敗細菌参照)
     ・原料の種類により存在する細菌の種類が変わってくるので、加工品の原料がわかればどのような細菌が増殖するかを予想することが可能である。その細菌にあった増殖抑制の手段をとる必要がある。

    (3) 細菌の増殖の抑制について
     ・ 細菌の抑制方法は、@冷蔵、A塩蔵、B乾燥、CpH調整、D脱酸素状態である。
    1. 温度について
     ・ 細菌は、低温細菌、中温細菌、高温細菌の3つに分類できる。
     ・ 低温細菌は0℃でも増殖が可能。低温細菌は鮮魚介類にもいるので、5℃に冷蔵しても腐敗に対し注意が必要である。
    2. 塩分濃度について
     ・ 対塩性では、非好塩菌(2%以下)、低等度好塩菌(2〜5%)、中等度好塩菌、高等度好塩菌、耐塩性菌(0〜15%)の5種類に分類できる。
    ・ 低等度好塩菌は海洋性細菌のビブリオ、耐塩性菌は黄色ブドウ球菌が知られている。
    3. Awについて
     ・ 乾燥によっても制御することができる。通常はAw0.90以下で制御が可能。
     ・ 腸炎ビブリオ:0.95以下、サルモネラ、ボツリヌス菌、病原性大腸菌:0.94以下、酵母(通常):0.88以下、酵母(耐浸透圧):0.61以下、カビ(通常):0.80以下、カビ(耐乾性):0.60以下
    4. pHについて
     ・ 酸の種類にもよるが、通常はpH5.0以下で増殖を抑制することができる。
     ・ ただし、カビ・酵母は低めでも可能。ボツリヌスA・B型は4.5以下で抑制できる。
    5. 酸素要求性について
     ・ 酸素要求性で5種類に分類できる。
      好気性:酸素が絶対に必要
      微好気性:酸素が絶対に必要だが、15%程度で良い
      通性嫌気性:酸素が存在してもしなくても可能。腸炎ビブリオ、大腸菌など
      耐気性嫌気性:酸素を必要としないが、酸素があっても死滅しない。乳酸菌など
      偏性嫌気性:酸素があると死滅する。クロストリジウム属菌、ボツリヌス菌など


    以上
    作成 事務局
                                        
対米・対EU輸出水産食品HACCP認定施設協議会