HACCP認定施設協議会 ホーム
協議会について
HACCPについて
HACCPとは
HACCPの前提事項
HACCP導入の手順
水産食品とHACCP
HACCPマークについて
会員名簿
リンク
インフォメーション
お問い合わせ
Information
 

会員向け情報


  • 「対米・対EU輸出に関わる最近のHACCP動向を考える」セミナー・議事録

    対米・対EU輸出水産食品HACCP認定施設協議会
    社団法人大日本水産会 輸出対策特別委員会 共催
                                             
    1.日時 :平成17年2月23日(水)13:30〜16:30
    2.会場 :虎ノ門パストラル(ミモザの間)                                        
    3.開会挨拶:
    @対米・対EU輸出水産食品HACCP認定施設協議会 代表幹事代行 花岡 豊氏
    数年前の大腸菌O-157事件以後、我々食品業界を取り巻く環境が大きく変わりました。事件・事故が相次ぎました。この情勢下で、安心・安全を担保するにはHACCPはいい仕組みです。本日御出席いただいた皆さんはHACCPを取得している、推進している会社・団体の方です。今日のセミナーは、これからHACCPを一層普及するのに有意義だと感じている。これをきっかけにますます定着化していってほしい。  当協議会は、米国・EUのHACCP規制を厚生労働省が確認した水産食品会社の中で、会の主旨に賛同した事業者の自主的な団体です。平成10年に設立され7年目です。

    A社団法人 大日本水産会 常務理事 齋藤 寿典氏
    本日は、水産食品の輸出強化対策の一環として、共催で開催できたことに関係者の皆さん、お忙しいなか御出席いただいた皆さんに御礼申し上げます。 我々水産業界は課題が多く資源管理、労働力、安全性確保等々山積しているなか、基本法が制定され、既存法の抜本的改正がなされ、政官民が一体となって課題をクリアするための努力をしています。この貿易問題も大きな問題です。近年水産物は輸入超過の傾向にありますが、昨今は風向きがかわり自由化、近隣諸国の所得向上、健康志向等の変化の中で政府も力を入れて攻めの輸出を模索しています。魚食大国として積極的にチャレンジしていきたい。 欧米への輸出の鍵となるHACCP、特に義務化の流れの中で、当会も導入を推進し始めて10年近くになります。今回、経過を踏まえて各分野の専門家の皆さんに最新動向を話していただくことは、有意義であるとともに期待もしています。 大日本水産会では既存の輸出対策特別委員会を設け13〜14の団体の方に集まって活動していただいていますが、H17年度からはより多くの会員の皆さんに参加呼び掛けをして拡充強化しますので、お力添えをお願い致します。

    4.講演 :
    @【講演題目:米国FDAのHACCPシステムの現状等】
    独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 研究振興部 
    希少疾病用医薬品等開発振興課 課長 松岡隆介氏
    (経歴紹介:略)
    米国におけるHACCP規制…規則として規制、魚介類、100%果汁・野菜汁、低酸性缶詰・LL牛乳・ASEP充填製品、食肉・家禽肉。漁船・農場・と畜場から食卓まで各段階で。 米国の定義…リスクと重篤性を評価し明確にして、食品製造等に関連した生物的、科学的、物理的危害因子をコントロールする体系的なアプローチ、食品製造者がシステムの作成を行い、システムは食品安全にかかる危害因子を予測し、コントロールがうまくいかないおそれ、危害因子が生まれたり、持続する段階を明確にするプランに基づいている。 1970年以降、国際的に受け入れられてきた。米国、EU、カナダ、豪州、NZは規則、基準、規範を定めてきた。さて日本からの発信は残念ながらない。国際的な貿易の中で大丈夫なのか。 CODEXでの定義、七原則、基本的にCCPに関するプラン、システムのみ。わが国は雑然とし、多すぎる。 利点・メリット…長い目で見れば費用対効果がある。特にリコールとの関係で。
    <米国のSeafood HACCP>
    ・行政、民間ともに体系的、透明性を持つ ・コントロールガイド
    ・Verification とValidation  ・動物用医薬品、食品添加物、色素に注意
    ・ヒスタミン、ボツリヌス、寄生虫の対策 ・Auditの活用
    ・認証、承認にばかりこだわらない
     HACCPは単独で存在しえない。PPは、HACCPの基礎。PPがしっかりしていると七原則に集中できる。  FDAにおいては、検証の重要性とリコールを関連させて説明している。
    <Verification (検証)>
     HACCPプランの実践の失敗…検証を行なっている際に、HACCPプランにおけるコントロールが実践されていない際に起こる。
    ・コントロールがうまくいかなかった際の強度(誠実性) →製品内のハザードが許容できるか否か
    ・問題となる製品自体の強度→工場内や管理下にあれば改善措置
    ・工場外→リコールの必要性(会社毎に事前に方策を決めていないといけない)
    <FDAによるリコールの定義>
    市場から問題となった製品の除去と現場での修正措置→理想として潜在的に危害因子が存在しているとされている製品が消費者に至る前にとるべき。 製品リコール…会社、製品名、量決定、2つの選択肢のみ。
    ・全製品の除去または
    ・影響のある製品のみの除去(製品の明確化/コード付け、トラッキング)
    <Verification と Validation>
    ・Verification …Implementation of the HACCP plan
    “Is it being done?”きちんとやっているか?
    ・Validation …Design of the HACCP plan
    “Is it right?”正しいか?(プランが有効であることを保証する)
    Validation Definition(バリデーションの定義)…検証の独立した1要素でありHACCPプラン自体が正しいことを保証するプロセス。
    ・危害分析が正しいか、工程かつPP ・CCP,CLが適切に設定されているか
    ・コントロールされていないことを検出できるモニタリングの適切さ
    ・改善措置の適切さ ・検証でとられるアクションの適切さ ・十分な記録の保持
    <微生物汚染の源>
    ・原材料に付着 ・不潔な器具、装置 ・製造中に使用される水
    ・途中で添加される原材料
    ・冷却水(レトルト、殺菌装置)…生産率が上がると、使用水中の有機物質が増加し、遊離残留塩素が減少する。
    <問題や事故があった際の経済面のコスト>
    ・一度失った信用を回復するコストと、固定客を維持するコスト
    ・不満を持った顧客の13%は、他の20名に不満足な点について話す。
    ・不満を有する顧客の分類…クレームを言うのは4%、後の96%はクレームを言わない。 91%のヒトは、その製品に戻ってこない

    A:【講演題目:HACCPの内部検証をどうおこなうか】                 
    株式会社フーズデザイン 代表取締役 加藤光夫氏
    (会社紹介:略)  約30年前、食肉のコンサルティングで米国に行ったり来たりしてた頃、HACCPが始まった。やがて、米国人も魚を食べ始めたので、魚もHACCPをやるようになった。次第に全食品へ広がっていった。  検証は解りにくい。PP(一般的衛生管理)とHACCPを構築する。構築した後、検証する。検証のないPPとHACCPはありえない。それほど重要だが、なかなか理解できない。シンプルに理解してから詳しく行えばいいと思っています。
    検証には4つのタイプがある。
    ・製品の検証…原料、中間製品も入る。食べるものの検証。細菌検査、日持検査等直接食品を検査して大丈夫か確認する。頻度が大事(ロット、毎日、毎週)。
    ・運営の検証…PPが正しく行われているか。まな板、包丁がきれいになっているか拭取り検査をする。チェックシートがまじめにつけられているか。金属探知機が間違いなく動いているか。教育が行われているか。
    ・HACCP計画全体の検証…全体計画。チームのメンバーはそれでいいのか、多すぎる・足りない。スケジュールはそれでいいのか。トップは正しく認識しているのか。
    ・クレーム、回収の原因追跡と検証(頻度は決められない)…ないのが一番いい。どうして異物が入ったのか追跡する。内部で見つけたものも入れて、どこで入ったか徹底的に検証する。  
    大体の工場では、80%の問題は工場の2割の場所で発生している。工場全体で平均して出ていない。漬物工場で調べた例:漬込工程の場所で9割発生していた。そこの対策をまず徹底させることを認識させる(危ない場所なんだ)。木の大きい樽に野菜を漬込む、古い工場で空調から細菌・ゴミ、上から髪の毛、入ったら解らない。原料由来もある。認識して、次はその場所を明るくした。暗いと見えない。防止とユニフォームもきちんとしたものにした。樽もプラスチックに交換した。目のいい人、細かいのものも見える人に担当してもらった。結果として毎月10件あったものが0になった。 頻度はないが、その都度、徹底して検証する。
    検証と監査の違い:検証は調べて証明する。監査は取り締まり調べる(警察)。外部監査が重要。内部監査はお金がかからない。
    <魚介類パックセンターの例>
    大事なのは、内容・頻度・担当・確認・記録の五つがきちんと決まっていること。
    ・原材料の検証…細菌検査・月1回・品質管理室・都度記録する。品温検査…表面温度計ですばやく行う。原料を二つに分ける。一つは、それを間違えると危害になりやすいもの、冷凍品・冷蔵品。もう一つは、それ以外全て、砂糖・塩他、今まで通り簡単でいい。
    ・運営の検証…室温、落下菌・拭取り検査、鼠族・虫の侵入、使用水。
    ・製品の検証…品温、細菌検査
    ・異物混入の検証…目視、金属探知機
    ・HACCP計画全体の検証…ここでは年一回、検証会議実施。
    <生牡蠣の加工場の例>
    内部と外部検査は内部検査の正しさを月1回外部検査で検証している。公定法でじっししていれば年一回程度でいいのでは。
    HACCP計画全体の検証をここでは年一回行っている。まとめて行うと項目が多くて大変なので、12回に分けて順番に毎月1回小分けして行っている。
    温度計の検証は、よく年一回外部へ出したりしているが、進めている簡単な方法は、工場にある温度計を月1回全て集めてスイッチを入れる。全て同じ温度ならOK。固定式はそのうち1個を持っていって、そこで行う。
    内部監査、全部で21工場ある会社では3工場で1チームを作り年2回相互に行っている。翌年はチームの組合せを変えて全工場を見られるようにしている。最初は癒着して、ここは言わないでくれとかになると思ったが逆だった。HACCPのメンバーの人は工場の人にああだこうだ言われるて孤独になって言うことを聞いてもらえなくなったりする。そういう時、監査を利用する。くる人に監査の時しっかり言ってほしいと先に伝えておく。外圧には弱い。
    日持ちの検証、製品の検証には科学的に測定して、数値がでるものもあるし、味とか風味とか官能もある。HACCPに官能とか入れてもいい、CCPにはならないがPPには入れるべき。経験は素晴らしい、神様のようにパッと解る。
    抜き打ち検査…ATPの検査機器が安くなってきたので、まな板や生産機器を測定する。頻度を決めるけど決めない。毎週やるが、いつ・どこかを検査するかは教えない。いつか解らないと毎日きちんと行うようになる。手指の検査も、いつ・誰かを決めないと効果的。
    うにの加工場:洗浄を当初は普通の水道水で行っていた。加熱工程がないからCCPがない。PPの中の水の温度と冷蔵庫の温度、これが重要なPPとしてCCPに準じている。夏は鮮度が悪く、ミョウバンをたくさん入れていた。HACCPを始めてチラー水を使用して5℃以下にした。ミョウバンが少なくなって品質が良くなった。
    魚のさしみ工場:運営の検証で湿度を重要視している。カビのもと。カビは掃除してもすぐ出てくる。湿度43%以下で1日3時間キープする。カビは増殖しない。除湿器を夜使って対応している。これが出来てから掃除する。
    検収時の検証:たくさん原料が入り、とても社員1人付けていられない場合、業者の方に温度を測ってもらう。ちゃんとやってくれるのか?週に1回か2回頻度を決めずに突然一緒に測定する。
    チェックリストが多いと非効率的になりやすい。紙だらけにならないように整理統合する。
    スープ・ソース工場で、一枚のチェックリストで左から原料のチェックから右へ加熱工程、裏返して冷却、最後に倉庫、一枚で製品の証明ができるようにしている事例もある。クレーム対応も1枚FAXすれば、事足りるようになった。

       B:【講演題目:対米HACCP認定の事例紹介】
    カ印水産株式会社 専務取締役 大和田健氏
    明治後期に漁業会社として設立され、水産業へ移り、現在四代目です。水産加工業としてさんまの開きや、昭和40年代からは輸入加工として、現在も冷凍輸入タコの加工を行っています。大日本水産会の認定91社の中にもタコの加工は10件ぐらいあり多いほうです。
    当社では1998年にHACCPの講習会に初めて参加しました。この前から将来、対米輸出には取得していないと難しくなる。蒸しタコにも必要になると言われていました。当社でもHACCPを構築するために参加したわけですが、講習会に出ただけでは社内に落とし込むことは難しいものでした。
    翌年9月、当社のある茨城県ひたちなか市の組合から7社がエンジニアリング会社の主催する講習会に参加しました。競っていたわけではないですが、それぞれ会社に持ち帰ったなかで、早く取り入れたいとの意欲があったかと思います。
    1999年には社内で外部の方の講習会を開催するところから始め、2000年4月にはHACCPの認定を頂けました。
    地域の協同組合加盟の中で9社が認定を受けており、まれな地域ではないかと思っています。規模として全て社員20〜30名程度の中で、対米輸出する上では、どうしてもHACCPTが必要なものだったからです。タコ関連の会社でもうち6社があり、気の合った仲間同士、ノウハウが各々あり、工程も違いますが、衛生的な情報は共有しながらやっています。
    中小企業でのHACCPの構築と言うと大変なことを行ってきたように思われまずか、中小でも取れます。それほど苦労もしていません。確かに工場の改造も必要でしたが、認定を取るという強い気持ちがあったので、やってて楽しいものでした。
    一般的に、費用も高く、ハード的にもハイレベルと講習会等でも言われましたが、既存の施設・設備でもそれなりの配慮をすればそれほどではありません。本質的に従事している人の考え方がしっかりしていれば、ハードをガチガチにしなくても大丈夫です。ハードで絶対に守られるわけではなく、1人1人が安全安心な食品を作るんだとの気持ちが大事です。そのことを全員に解ってもらうことの方が大切だと思います。2年前に水産庁の関係から、コスタリカから研修生が来ましたが、この話をしたら「初めて人の気持ちの話を聞いた、コスタリカに戻ってHACCPを構築するにあたってハードでなくて人の心と聞いて感激した」と言っていました。
    外部監査も最初はピリピリしていたが、5年経って、いつでも問題ないというところまで来ました。それで慢心してはいませんが、これからは、次の世代を育てて、さらに安心安全食品作りに努めていきたいと考えています。
    地域の同業から2000年の取得して以後、続いて次に認定を取る会社が出ていません。残念ですが、認証よりも普段この仕組みで製造することが重要で、我々も昔は汚れの目立たない黒っぽい作業着でしたが、HACCPを取る会社が出てきたことで、取得していない会社でも、汚れの目立つ白のユニフォームに変わったり、帽子・マスク・手袋等が普及してきました。
    HACCPを取ったことは製造業として当たり前のこと。水産業は他の業界に比べれば遅れていたのではないかと取得後しみじみ思いました。
    これから、もう少しコストの掛からない方法をきちんとしたデータを取って安全の基準を逸脱しないで見直しをしていきたい。
    対米の輸出に際して、インポータが間に入る。継続の審査時には必ずこの6ヶ月の間に米国向けの製品を作ったが聞かれるが、このロットがとの担保が直接輸出していないので、はっきりしていない。インポータへは継続審査があればクリアしたことを連絡しているが、しっかりしたインポータだと米国にすんなり入るとか、認定工場の製品だとなんでも入るとか聞こえてくるので、どうなっているんだろうなと思うこともあります。

    5.パネルディスカッション:

    パネラー(P)
    ・厚生労働省 医薬食品局食品安全部監視安全課  水産安全係 係長 今川正紀氏…@
    ・対米・対EU輸出水産食品HACCP認定施設協議会
    ・東町漁業協同組合 第二事業部 加工課 課長補佐 島田圭三氏…A
    ・マルトモ株式会社 品質管理部 部長 越智浩二氏…B
    ・株式会社紀文食品 東京工場 商品品質支援室 室長 井上 彰氏…C  
    ・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 研究振興部 希少疾病用医薬品等開発振興課 課長 松岡隆介氏…D   
    コーディネーター(C)
    ・社団法人 大日本水産会 品質管理部 部長 高鳥直樹氏


    C :それでは、パネラー各社の皆さんから、対米対EUのHACCPの取得された経緯・問題点までお願いします。
    PA:東町は鹿児島県最北端に位置します。傘下に160軒ぐらいブリの養殖を主にしています。このブリを昭和50年当時から米国に輸出しています。H15年実績で14,000tのうち1,200〜1,300tを米国に輸出しています。そのような経緯があり、97年の米国での水産物のHACCPの施工を受けて98年に認証を受けています。EUへの輸出の話もあり、03年に対EUの認証も受けました。  米国ではテロ対策としてのバイオテロ法の施行後、HACCPだけでなく厳しくなりました。フィレかドレスの形で輸出しますが、特にフィレはボツリヌスが危害として大きく取上げられ、温度管理が厳しい。現在、データログ形式の27〜28円の温度計を貼り付けて出荷している。温度が上がると緑色から黄色に変色するが、中には粗悪品もあり苦慮している。  米国では原産地表示も始まり、輸入品に対しますます厳しくなりつつある。EUもEU規則があり、毎週1回、生で輸出しているので保健所の方が来て検査をされて衛生証明書を発行してもらっている。他にも100tに1ロットは残留有害物質の検査があり年間200万円ぐらい掛かっている。初めて一年半ほどで売上も利益も取れないので、検査費用の方が高くついている。
    PB:95年にPL法ができた時に、なにかしないととHACCPがあることを知り、米国の規制時に撤退せざるを得ないかとなって、認証を取得しました。  現在、対米はFDAのリストに掲載されていると輸出証明書がいりません。名前がリストに載っていればなんでもできるのでは。  当社では、管理がISO、JAS、HACCPと三つあり、複雑で一つにできないか悩んでいます。
    PC:練り製品を約48万パック/日生産しています。輸出は少なくEUへは年3回、米国へは年5回程度行っています。チルドの練り製品主体ですが、対米・対EUのHACCPを取得したのは97年に工場設立時にこれからの工場として、これからの品質管理としてHACCPを捉えて98年に認証を取得し、99年には国内の総合衛生管理製造過程も取得しています。  EUは対米よりも厳しく、衛生証明書をいただかないといけないので、日配品の製造なのでEU向け商品は深夜生産したくても保健所の都合と合わなかったりする。対EUも対米と同じように証明書がなくて対応できるといいのですが。
    C :三人の方からお話しを伺って、問題がいくつかあるようですが、今の話についていかがでしょうか。
    P@:まず、衛生証明書ですが、米国向、EU向は相手国の求めに応じて、施設や衛生管理を行う必要があります。EUの場合は衛生証明書がEUの法律で各国に求めているので、どうしても発行せざるを得ない。 米国は厚生労働省の認定がなくても大丈夫で、国の認定・第三者機関の認定・業者が独自での三つの方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。 国と国とでは、相手国の基準を厳格にあてはめざるえないため、厳しく時間も掛かりますが、1回リストに載れば、FDA側のリストにも載るので、後は止められることはほぼなく、フリーに入ってしまう。第三者機関では、認定まで早く、運用性もありますが、半年に1回更新をしないといけない。個人では認定とかは必要ないが、向こうで説明しきれないと入れられなくなってしまう。  米国はそうですが、EUは相手国の政府が必ず管理しなければならないので、日本とEUとの間で色々とやり取りして決まっているので変えられないことが多いのが現状です。
    C :業界としてはEUの認定が国と国なので厳しいのでしょうが、それをおいても、ハードやドキュメンテーションが強いではないか、EU内で本当に行われているのかと思うような、つらい思いをしています。特に中小では時間も掛かり認証取得は難しいのではないでしょうか。
    P@:確かに日本で行っていることをEUでもやっているのかというと、直接見に行ってないで解りませんが、米国でも施行されたから、全ての加工施設が満たしているのかというと必ずしもそうではない。FDAの担当官が順番に施設を回って、指摘事項があり、整っていくわけです。ところが第三国では、前提として相手国の基準に合っていないと持っていけない。相手国がやっているやっていないと言うよりは、持っていくには先に合わせておく必要が生じてしまう。そこを議論の対象にすると話がずれてしまうのでは。  EU向けには厳しい状況です。保管施設を入れても17施設しかない。これには訳があり、以前、EUの水産HACCPが施行されたときに日本もそれに合わせたやり方をして、100弱の施設が登録されていました。EUの担当官が、2年に一度ぐらい来ますが、一度来たときに基準にあっていないので全て止められた。再開するときに日本はEUのやり取りを今のやり方が定まった経緯があります。こちらから勝手に解釈できない状況。例えば違う国では、日本と同じかというと違うかもしれない。日本は今までEUとの色々な経緯のなかで決まってきているので緩和していくのは難しい。
    C :今の話を受けていかがですか。
    PA:EUへは冷凍で出荷していますが、対米は取得している福岡の冷凍業者に2年前からEUの認定取得を頼んでもまだダメで、チルドでエアーで送るほどでもなく、静岡まで混載便で運んでいる。コンテナの中でもEU向けは区画して置かないといけないとの話があり、流通上でも問題がある。
    P@:いま実態がどうなっているかは、個々の施設を把握しきれているのではないでのでお答えしかねますが、EUはHACCPの規程だけでなく、1つの規程をもとにして、こういう場合はこうと全てCPUの通知で出している。施設の構造についてかなり細かく、汚染と非汚染区域の区分けは日本語に訳すと完全に遮断されていないといけない。壁でというと日本では数えるしかないと思う。いい悪いは別にしてEUは文書でこのことを求めている事実がある。日本からこれは壁でなくていいですかとは聞けるが、通知があるので答えはダメとしか返ってこない。この話だけでなく、明確に文書上で規定されていることをこうしてくださいと言ってもEU自体緩和はなかなか難しいと思われます。
    C :EUについては外交的に運用的な解釈ができないと思われます。聞きたいのですが、米国への輸出での大日本水産会と国の認定との違いはどの程度か、対EUと対米との違いでも構いませんが。
    PC:手続き上とか設備上とかの違いはありますし、例えば水の検査では工場に200箇所の蛇口があり、当初月1回全ての所からの水を検査していたが、さすがに運用できないので今は年一回、毎日1カ所行っている。  原料のすり身で、東南アジア産はEUへ使用したいと思っても制約がかかり、EU向けの新商品の開発がなかなか出来ない。
    C :原料の話はよく聞きます。SPAで受入管理が大変と聞きますが。FDAではどうなんでしょうか。
    PD:米国ではPPの中でやることになっていて、あまりHACCPプランではならない。製造の簡単なフローチャートの中でCCPをコントロールするので、原料一つ一つについて危害がどうとかうるさく言わない印象がありますが。EUとは違うのでは。
    C :ヒスタミンとかはあるかも知れませんが、細菌とかはGMPでは。
    PD:確かにヒスタミンは船から温度の測定管理等厳しいが、細菌とかは、特にすり身はうるさくはないです。
    C :蒲鉾とかは加熱されるわけですからHACCPの観点から見れば、緩和していけないのでしょうか。
    PC:米国とEUではやり方に1つ大きな違いがあります。米国は基本的には1つの施設・工場単位での管理で、原料の受入もHACCPを導入していたり、EUや米国の認定施設から買えば、危害はそちらの問題なので受け入れられます。  EUは工場だけでなく、漁船・水揚場・運搬・市場・運搬・加工施設等、各々細かい規程があり、一連の流れのなかで判断しているので、原料にも規程が掛かってきてしまいます。
    PB:EUはかつお節を作るメーカーが取らないと自社だけでは取得できない。かつおの冷蔵庫までさかのぼると現状では不可能。ワールドカップや日本食ブームでEUからも要望が多かったが断念した。かつおを取る漁船も認定、海外から持ってきても保管冷蔵庫も必要となると単独では取れない。
    C :今のような事例で紹介してもらえることがあれば、
    会場A:ホタテですが、稚貝を海に撒いて育ていて、オホーツクの地撒きが天然か養殖かが問題になっているんですが、エサはプランクトンなんですね。フランスでは同じ方法をしていてワイルドでと言われているが、厚生労働省では養殖ではないかと言われていると聞いているのですが。  ロンドンの市場とかは築地と同じで直置きしている。パリでもパレットの上でものを売っている。言われたことをそのままやねのでは緩和はできないのでは。
    会場B:中国のEUの認定工場では、日本から秋サケを多く輸出していますが、採った漁船・海域とかどうこうなく、通常のものであれば加工してEUへ輸出している。  ロシアの助宗もそうなので、他国の状況も踏まえた上でEUと交渉していただけないものでしょうか。
    C :今日で問題点が全て解決するわけではないので、関係官庁へもお伝えして、大日本水産会と対米・対EU輸出水産食品HACCP認定施設協議会ともこれを機会に協調して対応していきたいと考えています。
    PC:オホーツクの地撒きの件ですが、最初の1年は人手を掛けて養殖して、海にばら撒いて3年はそのまま天然と同じ。日本の中では統計上は天然で扱われています。法律によって定義は少しずつ違いますが、日本では天然と考えられています。一方でEUがどう考えているかですが、EUにこれは天然か養殖かと質問しても回答が返ってこないんですね。この理由は、いくつか考えられますが、EUの貝毒の通知で天然は含まれないとなっている。日本のオホーツクのものが天然になると貝毒の管理はなにもしなくていいとなってしまうことになる。天然でも養殖でも危害は変わらないので、EUとしては天然と答えると管理されなくなってしまうので答えられないのではないか。EUの担当官でも見解が分かれているよう。EUの通知もいくつか分かれていて、例えばレギュレーションはどの国も守るが、ダイレクティブは各国である程度判断していい。水産物の規程、貝毒はダイレクティブなんですね。各国で多少考え方が違う。ただ、国として交渉すると、EU委員会が相手なので通知に書いてあることが基準になってしまいます。北海道の水産関係の方とも話しをしてEUがどう判断しようが、いずれ見にくるので同じ貝毒の管理をして説明して、今は厳しいことになっていますが、今後決定していくことになっています。  ロンドンの市場ですが、今のダイレクティブの通知なので各国で考え方が多少違います。  中国の話は、北海道のサケはEUの認定工場ではないことがほとんどと思います。基準を厳格に守れば本当はダメですが、日本から中国に言う話ではなく、EUの査察官が中国に行ったときに指摘しての話なので、日本は日本でEUの査察官と1回止められた経緯を踏まえて決めたことなので、一緒にはできないと思います。 水産庁:今日お話があったなかで、大きく二つわけられると思いますが、相手の法律に決められてなかなか変えられないもの、ケンカしないと変わらないもの。解釈が入ってくるもの。後者の解釈が入ってくるものについては、厚生労働省、大日本水産会、対米・対EU輸出水産食品HACCP認定施設協議会と一緒にすぐ改善できるものがないか検討していきたいと考えています。  ホタテの件は、日本だけで解決できないので、時間はかかりますが検討して、EUと交渉していきたい。  皆さん、困っている面を持っているので、今後もフォローしていきたいと思います。

                        以上、文責《事務局》
対米・対EU輸出水産食品HACCP認定施設協議会